「常連組が語る『宣伝会議賞』必勝法2018」

開催日:2018年9月5日(水)

記念すべき第10回目のテーマは、『宣伝会議賞』。コピーに興味のある方は、一度は応募したことがあるのではないでしょうか?今回は、4名の上位常連組をゲストに迎え、賞をとるための必勝法をたっぷりと語っていただきました。コピーやアイデアの考え方、応募数の目安、書いてはいけないコピー例などなど。今、書いている人も、これから書こうと思っている人も、10月31日の応募締め切りまでに、チェックしておくべき情報が盛りだくさんですよ。

文・西道紗恵(parks)

 

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ゲスト:吉川信幸さん

クリエイティブ・ディレクター/コピーライター。広告会社を経て、現在富士ゼロックス株式会社にて広告制作業務に携わる。宣伝会議賞での受賞歴は、第51回協賛企業賞(キヤノン、森永乳業)、第52回宣伝会議賞シルバー(キヤノン、セコム)。その他、第27回全日本DM大賞銀賞、第28回全日本DM大賞銅賞、第3回NHKミニミニ映像大賞グランプリなど受賞多数。

ゲスト:貝渕充良さん

デザイナー兼コピーライター。 広告制作・グラフィックデザイン事務所を経て、フリーランスへ。 宣伝会議賞での受賞歴は、第50回宣伝会議賞ファイナリスト(セメダイン)、第55回企業協賛賞(USEN)。その他、第13回ピンクリボンデザイン大賞コピー部門グランプリなど受賞多数。

ゲスト:野田 貴之さん

元コピーライター/プランナー。宣伝会議賞をキッカケに制作会社に誘われ、広告業に従事。現在は転職活動中。宣伝会議賞の受賞歴は、第51回ファイナリスト(毎日新聞)&協賛企業賞(旭化成)、第52回協賛企業賞(マスメディアン)。その他、 第2回 文化放送ラジオCMコンテスト審査員特別賞、CCN賞2017ファイナリスト、青山デザインアワード2009受賞、ピンクリボンデザイン大賞佳作など受賞多数。

ゲスト:向井正俊さん

コピーライター/デザイナー。制作会社などを経つつ、トナカイを育ててます。(tonacai.com

宣伝会議賞での受賞歴は、第49回シルバー(旭化成)、第52回ファイナリスト(セメダイン)、第54回シルバー (黒霧島)、第55回ファイナリスト(カスタムプロデュース・東京個別指導学院)、同協賛企業賞(オリックス・東京証券取引所)。

 

ずばり、賞をとるためのコツとは?

賞をとるには、どんなコピーを書けばいいの?書くコツは?心がけることは?

4名それぞれの方から、教えていただきました。

 

「時間を制する者は、宣伝会議賞を制す」(貝渕さん)

貝渕さんがまず行うことは、スケジュールをたてることだそうです。宣伝会議賞は9月に課題が発表されて、締切は10月31日まで。2ヵ月という限られた時間のなかで、いかに良いコピーを書くことができるか。全54課題ありますから、ひとつの課題に時間をかけすぎずに、行き詰まったら別の課題にトライして、視点を切り替えるのも必要だと貝渕さんはお話されていました。IMG_7316 (1)

 

「審美眼なんてない。思いついたら全部出す」(野田さん)

1課題につき、応募できるコピーの数は50本。50本まるまる応募する方もいれば、イチオシの数本を選抜する方もいるかもしれませんね。野田さんおすすめは、書いたコピーは全部応募すること。自信のないコピーでもOK。実は、野田さんをはじめ、ゲストのみなさんの受賞コピーは、イチオシの自信作ではなく、書いた覚えのないコピーや、自信のないコピーだったということのほうが多いんだとか。思いついたコピーは、試しに全部応募してみましょう。IMG_7349 (1)

 

「1課題につき、50種類の切り口を見つける」(向井さん)

向井さんがコピーを書くときには、「いかに引っかかり」をつくるかを心がけているのだそう。1課題につき50本応募できるなかで、ことばの言い回しを変えたコピーや、同じ視点のコピーを何本も出すのではなく、50種類の切り口を見つける。1本ずつ異なる切り口のコピーを出す。たくさん数を書くのはもちろん、1本1本の質も大切にされています。これは、コピーの好みもさまざまな審査員に見てもらうにあたって、どんな審査員に見られても、1本は引っかかってもらえるようにしているのだそうです。IMG_7355 (1)

 

「『そういえばそうだ』になっているか?」(吉川さん)

コピーを書いたら一度、「そういえばそうだ」と思えるコピーになっているかをチェックしてみる。それが、吉川さんの心がけていることだそうです。

コピーを読み直したときに、「そりゃそうだ」となるのは、あくまでも常識の範囲内で新しい切り口になっているとは言えません。一方で「そんなの分からない」という感覚になるのなら、アイデアとしてジャンプし過ぎている状態。つまり理想は「そういえばそうだ」。このときにはコピーに発見と共感があって、コピーとしてふさわしい表現になっているのだそうです。書いてみたら一度、「そういえばそうだ」と思えるかチェックしてみましょう。IMG_7315 (1)

このほかにも、「日常にもヒントがないかアンテナを張り続けること」「リラックスして書くこと」「たくさん書くこと」など、いろいろな考え方を教えていただきました。

 

アイデアはどうやって考える?

次のテーマは、『アイデアの発想法』について。コピーを考えるときはもちろん、企画などにも応用できます。ぜひ参考にしてみてください。

 

「人・場所・時間をずらして考えてみる」(貝渕さん)

アイデアを考えていくときに、頭をひねらせていてもアイデアが出なくなることがあります。そんなときに、「誰が、いつ、どこで?」と発想をめぐらしたり、「時間をずらす」「視点を切り替える」ことで、切り口も広がります。切り口が見つかったら、ことばでどのようにアウトプットするかを考える。これが貝渕さんの考え方だそうです。

 

「必殺技、連想ゲーム」(野田さん)

切り口を広げるために、まずは連想ゲームをしてみること。例えば、お題が「バナナ」であれば、「バナナ」→「黄色」→「レモン」というように、連想するワードを広げていきます。そこで、「3番目」に出てきた言葉をコピーに活かすのが、お題との距離が近すぎず遠すぎずちょうどいい、野田さん流の切り口の考え方だそうです。そして、連想ゲームで見つけたキーワードをもとに、話をふくらましてストーリーをつくってみる。これはキャッチコピーだけでなく、テレビCMを考えるときにも活かせるそうです。

 

「創造力は、想像力」(向井さん)

向井さんが大事にされているのが、疑ってみること。「クリエイティブにおけるイマジネーションは、心配することだ」という仲畑貴志さんのことばに影響を受けているそうです。いいコピー書けた!いい企画ができた!と満足するのではなく、もっと書けるんじゃないか?もっと考えられるんじゃないか?と、疑う姿勢が大事だと教えていただきました。

 

「課題×書籍タイトル=宣伝会議賞?!」(吉川さん)

吉川さんが何か考えるときによりどころにしているのが、『アイデアの考え方』という本だそうです。アイデアを考えるときの大原則として、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何者でもない」というのがあります。ということは、何かと何かをどう組み合わせるか。これが大事になってくる。吉川さんが日頃から実践されていることは、本屋さんをぶらぶら歩いてみて、企業の課題と本のタイトルを組み合わせてみること。1時間歩いていると、10本くらいはアイデアが浮かぶそうです。

 

ほかにも、「話をふくらませて物語をつくってみる」「画像検索で調べてみる」「頭のなかで映像を流す」など、いろんな考え方を教えていただきました。

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教えて常連さん!一問一答コーナー

最後に、ゲストのみなさんに宣伝会議賞のいろんな疑問を聞く「一問一答コーナー」。応募の参考にしてみてくださいね。

 

Q.コピーは何本応募する?

「賞をめざすなら1000本は最低ラインです!」

Q.コピーはいつ書いてるの?

「通勤中や、待ち時間、仕事帰り、思いついたときにメモしています」

Q.ぶっちゃけ、受賞後の反響って?

「横のつながり、毎年受賞すると企業とのつながりが深まりました」

(特にないという意見も……涙)

Q.書いちゃダメなコピーって?

「ありません。全部出しちゃいましょう!」

(強いて言うなら「てにをは」違いは、自分でライバル作品を増やすことになるので注意!)

Q.気をつけるべきことは?

「作品提出には、応募サイトで入力する時間も必要。時間には余裕を!」


毎年9月に課題が発表される「宣伝会議賞」。今回のモノカキモノ会議は、発表直後の開催ということもあって、多くの方にお集まりいただきました。イベントに参加してみて、4人の方それぞれにコピーの考え方や心がけがあって、どれも参考になりました。私自身はまだ、受賞歴ゼロ。今回聞いたことを活かして、今年こそ!贈賞式に参加したい!レポートをお読みいただいたみなさんとは、贈賞式でお会いできますように。お互いがんばりましょうね。

 

モノカキモノ会議では、「モノを書く」ということを仕事のベースにしている人たちが集まり、情報を渡しあえる場所として、今後もイベントを定期的に開催していく予定です。

お会いできなかった皆さまも、ぜひお気軽にご参加ください。議題も受けつけておりますので、みなさまからのご意見お待ちしておりま〜す!